『We Shall Overcome』
引き続き、スプリングスティーンを聴いている。



このアルバムは衝撃的だ。
彼が歌っているのは、ロックではなくアメリカのフォーク・ソングだ。
フォークといっても、日本のような四畳半的な閉塞的・内向的な世界を描いたものではない。
下級労働者、黒人、戦死者たちの歌であり、虐げられた者たちの労働歌であり、プロテスト・ソングだ。
何世紀も歌い継がれてきたものもある。
タイトル曲はあまりにも有名なプロテスト・ソングだ。

彼は、自らの音楽のルーツをさかのぼり、ついにその源流に辿り着いたかのようだ。
それは歌が発生する、原初的で豊饒な源泉であっただろう。

しかしこのアルバムは、『ネブラスカ』や『ゴースト・オブ・トム・ジョード』のような静かで暗い奥深さはない。
限りなく陽気に、そして豊かなセッションとして録音されている。

これには圧倒される。

原点への旅を終えた彼は、また力強く蘇ってきたかのようだ。



是非、日本語訳のある日本版の購入をおススメする。


| 音楽 | 10:00 | comments (0) | trackback (0) |

『RISING』
風邪をひいたらしく週末から体調が悪く、薬を飲んでひたすら寝ていた。
講義を楽しみにしてくれている学生諸氏には申し訳なかった。

鼻が詰まり、のどが痛く、微熱が続いた。
薬を飲んでひたすら回復を待っていた。

それまでの二週間が少々ハードだったので、その疲れもたまっていたのだろう。


執筆などの仕事ができる状態ではなかったので、久しぶりに一人で音楽を聴いていた。


敬愛するブルース・スプリングスティーンの新譜が来春1月にも発売されるらしい

そこで、復習の意味も込めて(笑)、今、『RISING』以降のアルバムをずっと聴いている。

『RISING』『DEVILS & DUST』『We Shall Over Come』『 Live in Dublin』『MAGIC』と、携帯音楽プレーヤーに取り込み、ずっと聴いている。




『RISING』は、とても静謐な感じのするアルバムだ。

ロックのアルバムに静謐というのは形容矛盾かもしれないが、それが率直な感想であり、おそらく本質を突いていると思う。

このアルバムは2002年にリリースされたものだ。
9・11の直後のアルバムだ。

現代の詩人である彼が、あの事件の直後からのアメリカ、特にニューヨークを見つめ続けたアルバムだ。

事件の衝撃、英雄的な活動をした消防士たち、憎しみの巻き起こるアメリカ、喪われた者たちの追悼、そして、立ち上がろうと心ある人々に呼びかける励ましの歌でもある。

彼は民主党の支持者としても有名だ。
オバマ候補の応援ライブの模様なども、日本のメディアでも一部取り上げられていた。

イラクやアフガンもまだ終わってはいないが、スプリングスティーンが呼びかけ、オバマが政治的メッセージに高めた「変化」は着実に人の心をとらえたのだろう。

『RISING』には祈りのメッセージのようなリフレインが多用されている。

かつて宗教社会学者のロバート・ベラーが指摘した、単なる支配イデオロギーではなく、アメリカの理想からかけ離れた時には、国家や権力の批判の基軸となるような「市民宗教」の存在を信じたくなるようなアルバムだ。


ともあれ、日頃は何かと忙しく、ゆっくりと音楽だけを聴くという機会はめったにないので、2001年以降を総決算するつもりで、ゆっくりと音楽に身体を浸している。

| 音楽 | 09:57 | comments (0) | trackback (0) |


CALENDAR
S M T W T F S
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30   
<<   09 - 2010   >>

COMMENTS
TRACBACK
PROFILE
OTHERS
POWERED BY
POWERED BY
ぶろぐん
SKIN BY
ゲットネット...¥
LOGIN
現在のモード: ゲストモード
USER ID:
PASS:
since 12 June 2007 合計:355026
今日:106
昨日:339